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玄関を出た瞬間、タイルや外階段がツルッと滑る。雪かきをしたはずなのに、翌朝は薄い氷になってもっと危ない――冬の玄関まわりでは、雪そのものより踏み固められた雪や、一度溶けて再凍結した氷が危険になることがあります。
結論からいうと、「雪」と「氷」では対策を分けるのが正解です。新雪や厚い雪はまず除雪し、薄い氷・圧雪は融雪剤でゆるめる。今すぐ歩く場所のグリップを増やしたいときや、融雪剤を使いにくい場所では滑り止め用の砂・砕石を使います。
札幌市も、凍結路面対策として凍結防止剤と滑り止め材を路面状況や場所に応じて使い分けています。滑り止め材は、氷板と靴底の摩擦を大きくして転倒を防ぐ目的で使われています。
参考:札幌市「凍結路面対策」/札幌市「道路がつるつるで危ないけど、どうにかならないの?」
玄関・外階段が滑るときは、まず「雪・圧雪・氷」を見分ける
全部を「雪」とひとまとめにすると、対策を間違えやすくなります。
| 路面の状態 | 優先する対策 |
|---|---|
| ふわふわした新雪・厚い積雪 | まず雪かき・除雪 |
| 踏み固められた圧雪 | 除雪できる分を取り、必要に応じて融雪剤や滑り止め材 |
| 薄い透明な氷・アイスバーン | 融雪剤で氷をゆるめる、または滑り止め砂でグリップを確保 |
| 融雪剤を使いにくい場所 | 滑り止め砂・砕石を優先 |
| 毎朝同じ場所が再凍結する | 水がたまる原因・排水・雪解け水の流れも見直す |
特に危ないのが、日中に溶けた雪が夕方から朝にかけて再び凍った路面です。札幌市消防局も、雪道の転倒事故は歩き方や靴、滑りやすい場所への注意によって予防できる可能性があると案内しています。
今すぐできる対策1|新雪・厚い雪は先に取り除く
10cm、20cmと雪が積もっているところへ、いきなり融雪剤や砂を大量にまく必要はありません。まずスコップなどで歩く動線の雪をできるだけ取り除くのが先です。
雪を残したまま人が何度も踏むと、硬い圧雪になって後から剥がしにくくなります。玄関から道路まで、家族が必ず通る幅だけでも早めに除雪しておけば、その後の凍結対策もしやすくなります。
特に外階段では、段の先端が雪で分からなくなると、滑るだけでなく踏み外しも起こります。踏面と段鼻が見えるところまで除雪してください。
今すぐできる対策2|薄い氷・圧雪は融雪剤でゆるめる
雪かきでは削れない薄い氷や、硬く踏み固められた圧雪なら、凍結防止・融雪剤が役立ちます。
ただし、家庭の玄関や外階段で気をつけたいのが「何をまくか」です。
道路で一般的に使われる塩化ナトリウムや塩化カルシウムなどの塩化物系凍結防止剤は有効ですが、国土交通省は、濃度によっては自動車などの金属を腐食させる可能性があるとしています。また、凍結防止剤に含まれる塩化物がコンクリート構造物の鋼材腐食などに関係することも知られています。
参考:国土交通省「凍結防止剤は環境や自動車に影響を与えますか?」/国土交通省 中部地方整備局「橋の損傷・塩害」
そのため、玄関ポーチ、外階段、金属製の手すりや車の近くで使う場合は、「安い塩カルをとにかく大量にまく」より、使用場所に合った製品をメーカー指示どおり使う方が安心です。
家庭の玄関なら「無塩タイプ」という選択肢もある
塩化物系による腐食が気になる家庭では、尿素を主成分とした無塩タイプもあります。
コンパルの「融雪くん 5kg」は、メーカー公式によると尿素+金属防錆剤を成分とした凍結防止・融雪剤です。玄関前や車庫前のスリップ防止用で、アイスバーンをシャーベット状にしやすくします。塩化カルシウム系と比べて金属の腐食やコンクリートの侵食が少ないことも特徴です。
ただし万能ではなく、メーカーはマイナス15℃以下では使用できないとしています。非常に冷え込む地域では、後で紹介する滑り止め砂の方が現実的な場面があります。
「毎朝、玄関の薄い氷をスコップで削る」「また今夜凍るのではと心配する」状態が続いているなら、購入前に現在価格・在庫・使用可能温度を確認してみてください。
今すぐできる対策3|氷を溶かせない・薬剤を使いたくないなら砂をまく
「今すぐ玄関を歩かなければならない」「非常に寒くて融雪剤が効きにくい」「玄関材への影響が心配で薬剤を使いたくない」という場合は、氷を溶かすのではなく、表面の摩擦を増やす方法があります。
札幌市は、凍結した歩道や坂道で滑り止め材を散布しており、市民が使える砂箱も設置しています。実際、玄関前やスロープに滑り止め砂をまいている公共施設もあります。
つまり砂は「雪を消すもの」ではありません。ツルツルの氷の上に細かな凹凸を作り、靴底との摩擦を増やすためのものです。
参考:札幌市清田区「滑り止め用砂入りペットボトル お使いください」
楽天では、最大粒度5mmの乾燥砂・7号砕石を使った「滑り止め用砂 5kg」が販売されています。販売ページでは、塩カルなどの融雪剤を使えない場所の凍結路面で安全確保に使う商品として案内されています。
氷を完全に溶かす必要はなく、「まず玄関から道路まで安全に歩ける道を作りたい」というときは、こちらの方が目的に合っています。
融雪剤と滑り止め砂はどっち?
| 融雪剤 | 滑り止め砂・砕石 | |
|---|---|---|
| 目的 | 氷・圧雪をゆるめる、再凍結を抑える | 表面の摩擦を増やす |
| 氷そのもの | 溶かす方向に働く | 溶かさない |
| 即時の歩きやすさ | 効くまで時間が必要な製品もある | まいた直後からグリップを作りやすい |
| 低温時 | 製品ごとに使用温度限界がある | 温度による化学反応に依存しない |
| 玄関材への影響 | 成分と床材の相性確認が必要 | 薬剤より腐食を気にしにくいが、清掃は必要 |
| 後片付け | 溶けた水の排水に注意 | 雪解け後に砂を掃く必要がある |
迷ったら、「氷をなくしたい」のか、「今すぐ滑らなくしたい」のかで考えると選びやすくなります。
玄関タイル・外階段に融雪剤をまいて大丈夫?
ここは一律に「大丈夫」とは言えません。
玄関や外階段には、磁器タイル、天然石、モルタル、コンクリート、金属、樹脂などさまざまな素材があります。さらに目地や手すり、排水金物もあります。
LIXILも、屋外床は雨や雪の影響を受けるため、基本的に凹凸のある滑りにくい面状が適するとしています。しかし、もともと滑りにくいタイルでも、氷で表面が覆われれば滑ります。
融雪剤を使う場合は、床材メーカーの注意事項と融雪剤側の使用対象を確認し、必要以上に大量散布しないことが重要です。国土交通省も道路での凍結防止剤について、適切なタイミングと必要最小限の散布量になるよう管理しています。
床材が分からない、天然石や金属部品が多い、賃貸住宅である、といった場合は、まず管理会社や施工会社へ確認する方が安全です。
屋外用滑り止めマットは有効?
屋外用マットも補助対策になりますが、「置けば必ず安全」ではありません。
- 雪・水を排出しやすい屋外対応品か
- 裏面そのものが凍って滑らないか
- 階段でめくれたりズレたりしないか
- 段差につまずかない厚みか
- 雪に埋もれたときも位置が分かるか
特に階段では、マットがずれると「滑り止め」が別の転倒原因になります。雪国向け・屋外用として設計されたものを、メーカー指定の方法で固定して使ってください。
翌朝また凍らせないための再発防止
1.夕方までに雪解け水を残さない
昼に気温が上がり、雪が溶けて玄関前に水が残る。そのまま夜に氷点下になると、翌朝は透明な氷になっていることがあります。
雪かきのあと、玄関前や階段の低い場所に水がたまっていないか確認してください。排水口が雪でふさがれているなら、そこも開けておきます。
2.日中に溶けた雪を、凍る前にもう一度除雪する
朝一度雪かきをして終わりではなく、日中に屋根や植栽から落ちた雪、踏み固められた雪があるなら、夕方の冷え込み前にもう一度取り除くと再凍結を減らしやすくなります。
3.凍結が予想される場所には、製品表示に従って事前対策する
凍結防止剤の中には、凍ってから使うだけでなく事前散布を想定した製品があります。「融雪くん」もメーカーが事前・事後の両方に使用できると案内しています。
ただし、散布量や対応温度は製品ごとに異なります。多くまけばよいわけではありません。
今日すでにツルツルなら、この順番で対処する
- 厚い雪を除雪する
- 氷・圧雪の状態を確認する
- 今すぐ歩く必要があるなら滑り止め砂をまく
- 氷を除去したいなら床材に合う融雪剤を使う
- ゆるんだ氷・シャーベットを除去する
- 夜までに水を残さない
「雪を溶かして終わり」ではなく、最後に水とシャーベットを取り除くところまでが再凍結防止です。
歩くときも対策する|小さな歩幅・靴底全体をつける
玄関や階段の対策をしても、凍結路面で転倒リスクをゼロにはできません。
札幌市消防局は、滑りやすい路面では小さな歩幅で、靴裏全体をつけて歩くことを勧めています。急がず、路面を確認しながら歩くことも大切です。
玄関を出てすぐ階段がある家庭では、手すりにつかまり、荷物で両手をふさがないようにしてください。特に高齢者や子どもが出入りする時間帯は、家族が歩く前に滑り止め対策を済ませておくと安心です。
まとめ|雪は取る、氷はゆるめる、今すぐ滑る場所には砂
玄関や外階段の冬対策で重要なのは、何でも同じ方法で処理しないことです。
- 新雪・厚い積雪 → まず除雪
- 薄い氷・圧雪 → 使用場所に合った融雪剤
- 今すぐ滑らなくしたい・薬剤を使いにくい → 滑り止め砂
- 毎朝同じ場所が凍る → 雪解け水・排水・夕方の再除雪まで見直す
玄関前で一度転んでから毎朝おそるおそる外へ出るより、路面の状態に合う対策を決めておけば、「今日は滑るだろうか」と身構える時間を減らせます。
雪をなくすことだけが目的ではなく、家族が玄関から安全に出入りできる状態を作ること。その視点で、除雪・融雪・砂を使い分けてください。
参考:札幌市「凍結路面対策」/札幌市消防局「雪道の自己転倒」/国土交通省「凍結防止剤は環境や自動車に影響を与えますか?」/株式会社コンパル「融雪くん 5kg」
